
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が示したこのチャートは、1990年から2000年代半ばにかけての「バブル」という言葉のメディア露出回数を集計したものである。この客観的な統計は、投資家がしばしば口にする「ある格言」がいかに危険であるかを明確に突きつけている。
チャートが証明する事実
チャートを分析すると、ドットコム・バブルがピークに達した2000年までの数年間、メディアによるバブルへの言及数は一貫して増加している。つまり、市場が過熱していくプロセスにおいて、すでに「バブルである」という認識は社会的に広く共有されていたのだ。
さらに重要なのは、バブル崩壊後の動向である。言及数が最大値(1万回超)を記録したのは、ピーク時の2000年ではなく、崩壊が加速した2002年である。これは、市場が暴落し、実害が確定した後に、ようやく世論の議論が最大化したことを示している。
格言の誤りを正す
「皆がバブルと指摘する内は、バブルではない」という言説がある。しかし、このチャートが示す歴史的経緯を見れば、その考えが半分正しく、半分間違っていることは明白だ。
バブルは、誰にも気づかれずに忍び寄るものではない。実際には「これはバブルだ」という警告が激しく発せられる中で膨張を続け、その警告がさらに激化する中で崩壊の時を迎える。つまり、「皆が言っているからまだ大丈夫だ」という判断基準は、出口戦略において全く機能しないどころか、判断を遅らせる致命的な要因となる。
固執が招く破滅
「まだ皆が騒いでいるから安全だ」という考えに固執することは、データの推移を無視した自己正当化に過ぎない。チャートが示す通り、バブルと言及される回数が増えている局面は、すでに崩壊のカウントダウンが始まっているフェーズなのだ。
この事実に目をつむり、安易な格言に逃避する投資家は、最終的に逃げ場を失うことになる。市場の過熱を「皆が指摘している」という事実をもって肯定するのではなく、それ自体を撤退のシグナルとして捉えるべきだ。歴史のデータが証明する通り、警鐘が最大になった時には、すでに手遅れなのである。
