Annotated Charts

【米経済】AIによって労働分配率はさらに低下する。

このチャートは、経済活動によって生み出された付加価値(所得)のうち、どれだけが賃金や福利厚生として労働者に支払われているかを示す「労働分配率」の推移と予測を表しています。

左端のグラフを見ると、米国の非農業部門における労働分配率は1980年の約64%から低下し続けており、2025年時点では55.5%まで下がっていることがわかります。右側の4つのパネルは、経済学者、AI専門家、スーパーフォアキャスター、一般市民の4つのグループによる将来予測を示しています。

グラフ内の各線はAIの進展スピードに応じたシナリオを指しており、特に赤い線(Rapid)はAIが多くのタスクで人間を凌駕する「急速な進展」が起きた場合を想定しています。すべてのグループにおいて、AIが進歩するほど労働分配率はさらに低下すると予測されています。具体的に経済学者の予測中央値では、急速な進展シナリオにおいて2050年までに分配率が45.0%まで低下し、AI企業の専門家に至っては40.0%という極めて低い水準まで崩壊すると見ています。

労働分配率の低下が意味するのは、経済が生み出した富の取り分が、労働者から「資本(AIシステム、ソフトウェア、知的財産、計算資源)」の所有者へとシフトするということです 。AIが人間の労働を代替するようになると、人間が提供する労働の価値が相対的に下がり、技術という資本を所有している側がより多くの利益を得る「勝者総取り」の構造が強まります。

たとえAIによって生産性が向上し、社会全体の富(GDP)が増大したとしても、労働者への分配比率が下がることで、富の集中と格差が歴史的なレベルまで拡大する可能性があることをこの図は示唆しています。