Annotated Charts

【米経済】トリム平均インフレ率に着目せよ。

このチャートは、総合インフレ率が将来どの指標に向かって収束していくのかを、統計的な「回帰係数」を用いて分析したものです。縦軸の数値は、現在のインフレ率と指標との間の「ズレ」が、将来どの程度解消されるかを示しています。数値が「1.0」に達すると、現在のズレが将来100%解消され、総合インフレ率がその指標の数値まで完全に追いつくことを意味します。グラフの赤い線が1.0を超えているのは、単に追いつくだけでなく、それほどまでに強力な力で総合インフレ率を自身の水準へと引き寄せる「強い予見性」があることを示しています。

ここで重要になる「トリム平均インフレ率」とは、物価上昇率を品目ごとに並べた際、値動きが極端に激しい上位と下位の品目(外れ値)を一定の割合で切り捨て、残った中間の品目だけで平均を算出する手法です。例えば、天候不順で一時的に急騰した野菜や、国際情勢で乱高下するエネルギー価格などの「ノイズ」をあらかじめ取り除きます。これにより、特定の品目に左右されない物価の真の勢いである「基調的なトレンド」を正確に浮き彫りにすることができます。

チャートを見ると、赤い線のトリム平均は12ヶ月以降に1.0を超え、極めて高い収束性を見せています。一方で、青い線の「コアPCE(食品とエネルギーを除いた従来の指標)」はゼロ付近に停滞したままで、将来の方向性を予測する力はほとんどありません。つまり、インフレが今後どこへ向かうのかという「目的地」を正確に見極めるためには、一時的な変動に惑わされないトリム平均インフレ率の動きにこそ注目すべきなのです。

ちなみに、ウォーシュ新FRB議長も、まさにこの「将来を予見する力の強さ」を根拠に、従来のコア指標以上にトリム平均を政策判断の最重要指標として位置づけています。物価の先行きを読み解く上で、この指標は現在、最も信頼に足る羅針盤となっています。