Annotated Charts

【米経済】インフレ率の「正の歪み」に注意せよ。

このチャートは、統計に「正の歪み(スキュー)」が生じている特殊な状況下で、将来のインフレ率を最も正確に予見できる指標がどれかを示しています。

まず、基調的な物価動向を探る際、通常は「トリム平均インフレ率」が重視されます。これは物価上昇率を品目ごとに並べた際、値動きの激しい上位と下位を「ノイズ」として一定割合カットし、残った品目で平均を出す手法です。しかし、関税などの影響で多くの品目が一斉に値上がりすると、統計全体が右側に偏る「正の歪み」が発生します。この状況下では、トリム平均は「本来見るべき重要な値上がり」まで異常値として削り落としてしまい、インフレの実態を過小評価する罠に陥ります。

チャートの縦軸である「回帰係数」は、その指標が将来の物価の目的地を当てる力の強さを示しています。数値が1.0に近づくほど、総合インフレ率がその指標の水準に向かって収束することを意味します。赤い線のトリム平均を見ると、数値はゼロ付近で停滞しており、予測能力を完全に失っていることがわかります。対照的に、青い線の「コアインフレ率」は右肩上がりに上昇し、1.0を大きく超えています。これは、統計に歪みがある局面では、極端な変動も含めて計算するコアインフレ率こそが、将来の物価の行き先を正確に示しているという強力な証拠です。

したがって、現在のように統計に歪みが出ている局面では、トリム平均の数値が低く見えても安心はできません。むしろ、ノイズを抱えながらも物価の粘り強さを反映しているコアインフレ率の動きにこそ、細心の注意を払うべきです。