声明文の変更点|3点
・純輸出に言及
今回|Although swings in net exports have affected the data, recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.
直訳|純輸出の変動がデータに影響を与えているものの、最近の指標は経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。
前回|Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.
直訳|最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。
・不確実性に対する懸念増大
今回|Uncertainty about the economic outlook has increased further.
直訳|経済見通しに関する不確実性がさらに増加している。
前回|Uncertainty around the economic outlook has increased.
直訳|経済見通しに関する不確実性が増加している。
・スタグフレーションリスクに言及
今回|The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate and judges that the risks of higher unemployment and higher inflation have risen.
直訳|委員会は、デュアルマンデートに関する両面のリスクに注意を払っており、失業率の上昇とインフレ率の上昇のリスクが高まっていると判断している。
前回|The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.
直訳|委員会は、デュアルマンデートに関する両面のリスクに注意を払っている。
記者会見ポイント(ロイター)
-労働市場の状況はおおむね均衡、最大雇用と整合的
-発表された大規模な関税が継続すれば、インフレ高進と雇用減につながる見通し
-物価の安定なしには強い労働市場の状況を達成できない
-二重責務の目標が緊張関係にある場合、目標からの距離とギャップを埋めるまでの時間を考慮する
-急ぐ必要はなく、忍耐強くいられる
-非常に注意深く観察しているが、経済の減速を示す実際のデータはあまり見られない
-労働市場の著しい悪化を確認すれば、支援できるよう検討する
-関税を見越した輸入の急増は第2・四半期に反転する見込みで、純輸出によるGDPへの大幅なプラスの寄与がある公算が大きい
yutakabu.comコメント
インフレ率も失業率も悪化した場合どう行動するかは、「目標からの距離とギャップを埋めるまでの時間を考慮する」と説明しているが、具体的な公式は教えてくれない。「労働市場の著しい悪化を確認すれば、支援できるよう検討する」と説明しているが、分かりやすい失業率の水準などは教えてくれない。というか、「著しい悪化を確認してからの検討」であるならば、株価としては遅すぎる。
何度確認しても、「経済が悪化すれば動く。悪化する前の予防はしない。」と言っているようにしか思えないのは私だけだろうか。FRBには頼れない。株価上昇には、トランプ政権と企業努力に賭けるしかない。
2025/3/19 FOMC 据え置き
声明文の変更点|経済の不確実性に関する表記、QT減速
・トランプ政権による不確実性の増大を懸念
今回|Uncertainty around the economic outlook has increased.
経済見通しに対する不確実性が増大している。
前回|The economic outlook is uncertain.
経済見通しは不確実。
・QT(量的引き締め)を減速
今回(追加):Beginning in April, the Committee will slow the pace of decline of its securities holdings by reducing the monthly redemption cap on Treasury securities from $25 billion to $5 billion.
4月から、国債の月間償還上限を250億ドルから50億ドルに引き下げることで、証券保有の減少ペースを緩める。
記者会見ポイント(ロイター)
-最近の兆候は消費者支出の鈍化を示唆している
-労働市場はインフレ圧力の源ではない
-急ぐ必要はない。より明確な状況になるまで待つのが賢明だ
-労働市場が弱まれば、必要に応じて緩和できる
-雇用率と解雇率はともに低い。解雇が大幅に増加すれば、すぐに失業につながる可能性が高い
-ここ2カ月のモノのインフレの強さが持続するなら、それは関税と関係があるに違いない。数カ月以内に分かるだろう
-短期的なインフレ期待の上昇を否定するわけではないが、長期的な期待の上昇については何も語っていない
yutakabu.comコメント
SEPにおいて、PCEコアの2025年予想は引き上げたものの、2026年以降は変更しなかったことをみると、FRBも関税によるインフレ影響は一過性と見ている可能性が高い。これは素直にポジティブ。個人消費の減速に関してはあまり言及されなかったが、失業率が高まればすぐに緩和する姿勢は示している。会見でもあったように、低水準の解雇率は評価しているが、同時に雇用率が低水準であることを懸念しているのだろう。
2025/1/29 FOMC 据え置き
声明文の変更点|雇用に関する表記、インフレに関する表記
・雇用に関する評価が改善した
今回|The unemployment rate has stabilized at a low level in recent months, and labor market conditions remain solid.
失業率はここ数カ月で低水準に安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調である。
前回|labor market conditions have generally eased, and the unemployment rate has moved up but remains low.
労働市場の状況は全般的に緩和しており、失業率は上昇したが、依然として低水準にある。
・インフレに関する表記がややタカ派化
今回:Inflation remains somewhat elevated.
インフレ率はやや高止まりしている。
前回:Inflation has made progress toward the Committee’s 2 percent objective but remains somewhat elevated.
インフレ率は委員会の目標である2%に向けて前進しているが、依然としてやや高い水準にある。
記者会見
-「金融政策スタンスが景気を抑制する度合いは以前より大幅に弱まっており、経済は強さを維持していることから、政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」
-「委員会はどのような政策が実施されるかを見守る姿勢だ、そうした政策が経済にどのような影響を及ぼすのかについて、妥当と考えられる評価を下す前に、政策自体が明瞭になるのを待つ必要がある」
-次回3月会合で利下げを実施する可能性について問われ、当局者らは利下げに急いでいないとの発言をパウエル氏は繰り返した。その上で、FOMCはインフレ面でのさらなる進展を示唆する「指標が続けて示される」のを確認したいと強調した。
-インフレに関する文言削除について記者会見で質問を受けたパウエル議長は、声明ではインフレに関する部分を「短く」すると決めただけだと説明。「シグナルを送ることを意図したわけではない」
yutakabu.com注目ポイント
声明文から「インフレ率が目標に向けて『進展』している」との文言が削除された
→会見では大きな意味はないとしていたが、今後表記が戻ってきた際は利下げを示唆する文言となり得るかもしれない。
次回3月会合で利下げを実施する可能性について問われ、「当局者らは利下げに急いでいない」との発言
→あくまで一時停止。インフレ抑制の進展を見込んでおり、利下げサイクルは継続か。