【米国相場解説】アトランタ連銀のGDPナウ上方修正、製造業PMI回復の兆し

アメリカの連邦準備銀行のひとつであるアトランタ連銀は、2024年10-12月期のGDPナウモデルを、2.7%から3.2%に上方修正しました。

GDPナウとは、アトランタ連銀が公表する、アメリカ経済の四半期ごとの、実質GDP成長率を予測するモデルです。
GDPナウは、経済指標や統計データが公表されるたびに予測値を更新し、アメリカ経済の最新動向を反映させるため、即時性に優れています。

12月2日、GDPナウモデルによる10-12月期の、実質GDP成長率の予測は、2.7%から3.2%に大幅上方修正されました。

具体的には、建設支出データとISM製造業データを受け、実質個人消費支出成長率が、3.0%から3.4%に、実質民間投資成長率が、0.0%から.12%に上方修正されました。

引き続き、1%台後半とみられている潜在成長率を上回る水準で推移しており、短期的な米国経済の見通しは明るいですね。

GDPナウの上方修正の要因となったデータを見ていきましょう。

まずは建設支出です。

建設支出とは、米国内で着工された住宅、商業施設、公共施設の建設に掛かった、建設会社の費用を集計した経済統計です。
建設支出は、アメリカのGDPの約2割を占めているため、GDPや景気動向を見るうえで重要な指標です。

2日にアメリカの商務省が発表した、10月の建設支出は前月比0.4%増となり、市場予想を上回る水準でした。
とりわけ、民間部門の建設支出が0.7%増となり、戸建て住宅建設の増加が追い風となりました。

次はISM製造業景況指数です。

ISM製造業景況指数とは、アメリカの製造業セクターの経済活動を評価するための指標です。
製造業の購買担当者に対するアンケート調査に基づいており、50を基準に拡大縮小を示します。

11月のISM製造業景況指数は48.4と、依然縮小圏ではあるものの、市場予想を上回り回復しました。
ISM製造業景況指数を構成するサブ指数の大半で改善が見られ、ポジティブな内容となっています。

とりわけ重要なサブ指数である、新規受注指数は50.4と拡大圏に浮上。
6大製造業セクターのうち3セクターで、新規受注の増加が報告されました。
短期的な需要に対する肯定的なコメントが増加し、製造業の見通しに非常にポジティブな内容と言えます。

また、雇用指数は48.1と、依然縮小圏ではあるものの、10月の44.4から大きく上昇しました。
企業は引き続き、レイオフや採用ストップなどを続けていますが、人員削減活動が減少しており、労働市場にはポジティブであると言えます。

一方で、価格指数は50.3に縮小。
依然拡大圏ではあるものの水準が低下したことで、インフレ圧力は低下していると言えるでしょう。

これらの経済指標を見る限り、短期的なアメリカ経済の見通しは心配不要ですね。

今回紹介したチャートは、すべてサイトに掲載していますので、よかったらチェックしてみてください。

ではまた明日!

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