米国株に関する重要なニュースを取り上げ、そのインプリケーション(含意)について解説します。
FOMC声明文、スタグフレーションリスクに言及|米国5月7日
FOMCは、6・7日に開かれた定例会合において、主要政策金利を据え置くことを決定。声明文において変更されたのは下記3点。
①純輸出に言及
今回|Although swings in net exports have affected the data, recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.
直訳|純輸出の変動がデータに影響を与えているものの、最近の指標は経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。
前回|Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.
直訳|最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。
②不確実性に対する懸念増大
今回|Uncertainty about the economic outlook has increased further.
直訳|経済見通しに関する不確実性がさらに増加している。
前回|Uncertainty around the economic outlook has increased.
直訳|経済見通しに関する不確実性が増加している。
③スタグフレーションリスクに言及
今回|The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate and judges that the risks of higher unemployment and higher inflation have risen.
直訳|委員会は、デュアルマンデートに関する両面のリスクに注意を払っており、失業率の上昇とインフレ率の上昇のリスクが高まっていると判断している。
前回|The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.
直訳|委員会は、デュアルマンデートに関する両面のリスクに注意を払っている。
Q:スタグフレーションに言及しているが、失業率の上昇とインフレ率の上昇、どちらに対処するのか(利下げするのかしないのか)
パウエル議長は会見において、インフレ率も失業率も悪化した場合どう行動するかは、「目標からの距離とギャップを埋めるまでの時間を考慮する」と説明している。(しかし具体的な公式は教えてくれない)
また、パウエル議長は会見において、「労働市場の著しい悪化を確認すれば、支援できるよう検討する」と説明している。(しかし、分かりやすい失業率の水準などは教えてくれない)
・スタグフレーションに言及しつつも、具体的な対応については言及しないFRB。
・そもそも「著しい悪化を確認してからの検討」は株にとっては遅すぎる対応。
・「経済が悪化すれば動くが、悪化する前の予防対策はしない」と言っているようにしか思えない。
➡重要なのは、予防的利下げでなければ、株価に対してポジティブには働かないということ。悪化を確認してからの利下げは、長期ベア相場入りのサインでしかしない。

インプリケーション
FRBは経済(労働市場)が著しく悪化するまで利下げは行わない。”遅すぎる利下げ” は株価を支えることはできない。つまり、今後の株価上昇を期待するうえで、FRBを頼ることはできない。株価上昇には、トランプ政策と企業努力に賭けるしかない。