米国 経済指標解説 – 2025年4月データ

雇用統計(5/2発表)

  • 4月の非農業部門雇用者数は17万7000人増-市場予想13万8000人増|Bloomberg
  • 失業率は4.2%で変わらず、予想と一致-平均時給は前月比0.2%増
ポイント① 雇用は堅調だったのか

・4月の雇用者数は17.7万人増。15万人超えれば堅調。(連月10万人下回ると景気不安)
・3月のデータは、22.8万人から18.5万人に大幅下方修正されたが、3か月平均で15万人増の基調感なため堅調と言える。

・失業率も横ばい。新規失業保険申請件数のトレンドとの乖離もなし。

・失業者のフローをみると、青線の雇用状態から失業状態、つまりレイオフとなった労働者のフローは前月から減少している。
・一方で、赤線の失業状態が続いているフローは前月から上昇。雇用を見つけにくい状況。
・最近の統計同様、採用もなければ解雇もない、均衡状態を保っている。(レイオフが加速すれば、受け皿がないため、均衡状態は一気に崩れる)

ポイント② 堅調な雇用者数を支えているのは

・雇用者数を支えているのは、サービス部門。
・財部門は軟調。とりわけ製造部門においては、雇用者数は減少している。

・サービス部門のなかでとりわけ堅調なのが、教育・ヘルスケア部門。(ほぼヘルスケア部門)
・ヒストリカルでみると、鈍化してきてはいるが、依然高水準。コロナを境に水準が切り上がっているが、背景が読めない。(構造的な人手不足の状況なのか?)
・過去の増加ペースに帰着するのであれば、増加ペースは半減する。

ポイント③ 関税の影響

ポジティブに働いた。運輸・倉庫部門は、前倒し需要による輸入急増を背景に、多くの雇用を創出した。

ポイント④ 労働市場は安泰?

・堅調な雇用者数を支えているヘルスケア部門は鈍化傾向。過去の水準に帰着するのであれば半減する。
・輸入急増によって膨らんだ雇用は短期間で縮小する。

・雇用者数が増加する見込みは薄い。重要なのはレイオフが増加するかどうか。
・安泰とは言えない。

ISM製造業景況指数(5/1発表)

  • ISM製造業総合景況指数は0.3ポイント低下の48.7、エコノミスト予想中央値は47.9
  • Bloomberg|低水準の受注残と関税の影響が重なり、2020年以来で最も深刻な生産縮小を引き起こした
ポイント① インフレに対するインプリケーション

4月のISM製造業価格指数は69.4から69.8に上昇。ISM製造業と非製造業の価格指数のコンポジット指数は、インフレ指標と高相関の関係にある。データを見る限り、短期的なインフレ率の上昇は免れないか。重要なのは、”短期的”で終わるかどうかということ。

ポイント② 受注と在庫のバランス

新規受注指数は縮小圏だが、さらに悪化しなかったのはポジティブ。在庫がさらに拡大しなかったのもポジティブ。(ポジティブというよりかは不幸中の幸い?)新規受注・在庫の相対指数は改善し、最悪の事態は回避している。

ポイント③ GDPへの影響

ISM製造業景況指数を受けて、アトランタ連銀の実質GDP予測モデル「GDPナウ」は下方修正。設備投資と在庫の成長率下方修正につながった。

新規失業保険申請件数(5/1発表)

  • 新規失業保険申請件数(4月26日終了週)は前週比1万8000件増の24万1000件
  • 失業保険の継続受給者数(4月19日終了週)は191万6000人に増加-2021年以来の高水準
データ解説

先週の新規失業保険申請件数は1万2900件増加したが、
Bloomberg|ニューヨーク州で1万5500件増えたことが要因。ニューヨーク市では、バス運転手や清掃員といった一部の学校職員について、冬休みと春休みの期間中に失業保険を申請することが認められている。
レイオフが増加してきそうな気がするが、ノイズが生じた週となり判断できない。

コンファレンスボード 消費者信頼感(4/29発表)

  • 消費者信頼感指数は約8ポイント低下の86-2020年5月以来の低水準
  • 期待指数は2011年10月以来の低水準
ポイント① 消費者信頼感の状況

ミシガン大のデータ同様、消費者信頼感は大幅に低下。とりわけ期待指数が著しく悪化している。

期待指数は大幅悪化の一方で、現況指数は大して悪化せず。消費者は見通しにのみ悲観的になっている。

ポイント② 労働市場に対する評価

上段の足元の労働市場に対する評価は大して悪化していない。依然、仕事が豊富にあると感じている消費者の方が多い。
一方で、下段の将来の労働市場に対する評価は悪化している。とりわけ、雇用が減少すると予想する消費者の割合は、景気後退レベルにまで増加している。

ポイント③ インフレ期待

ミシガン大のデータ同様、さらに上昇。物価に対するセンチメントはさらに悪化。

ポイント④ 株式市場への期待感

株高を予想する割合はさらに減少し、株安を予想する割合はさらに増加。その割には大して売られていない株式市場。センチメントの先走り感。

新規失業保険申請件数(4/24発表)

  • 新規失業保険申請件数(4月19日終了週)は前週比6000件増加の22万2000件
  • 失業保険の継続受給者数(4月12日終了週)は184万1000人(前週は187万8000人)に減少
データ解説

相互関税の影響を受けず。企業は採用凍結こそ加速させているが、レイオフ(解雇)までには達していない様子。

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