
チャート元:ISABELNET
チャートは、1950年以降の巳年のS&P500パフォーマンスを比較したものです。交互にプラスとマイナスの年がきていますね。今年はマイナスの年となるのでしょうか。以下に、これまでの巳年の株式市場の解説を載せています。
1953年の米国株式市場は、特に朝鮮戦争の終結が経済に与えた影響が大きかった年です。戦争が終わることで軍事支出が削減され、それが経済成長に対する一つの抑制要因となりました。アイゼンハワー大統領がこの年に就任し、新たな政権の下での政策の方向性がまだ不透明だったため、投資家たちは慎重な姿勢を取らざるを得ませんでした。加えて、戦後の経済成長期に入っていたものの、物価上昇や景気循環の変動が発生し、市場には不安定さが漂っていました。これらの要因が重なり、結果としてこの年のS&P500は-1.1%とわずかに下落する結果となりました。特に、経済の先行きに対する不安感が投資家心理に影響を与え、株式市場は活発な動きを見せることができなかったといえます。
1965年においては、米国が戦後の経済繁栄を続けている中で、株式市場も成長を続けました。ジョンソン大統領の「偉大な社会」政策は、社会福祉プログラムの拡充やインフラへの積極的な投資を通じて、国内経済をさらに活性化させました。これにより消費者の信頼感が高まり、消費活動が活発化しました。また、技術革新が進み、新たな産業が成長したことで、株式市場全体が恩恵を受けることとなりました。例えば、半導体産業やコンピュータ技術の進歩は、特にテクノロジー分野の株価を押し上げました。これらのポジティブな要因が相まって、S&P500はこの年+6.1%の上昇を記録し、投資家にとって良好な年となりました。
1977年の米国株式市場は、多くの経済的な逆風に直面し、投資家にとって厳しい年となりました。この時期、インフレーションが高止まりし、物価が上昇する中で、スタグフレーションという経済現象が発生しました。これにより、経済成長が停滞する一方で、物価が上昇し続ける状況が続きました。ジミー・カーター大統領の下での経済政策が不安定だったことも影響し、特にエネルギー価格の上昇は1973年のオイルショックの余波を引きずっていました。これが企業のコストを押し上げ、業績に悪影響を与えました。結果として、S&P500は-12.5%と大きく下落し、多くの投資家がリスク回避のために株式市場から撤退する動きが見られました。
1989年の米国株式市場は、冷戦の終結に向かうという国際的な動きがある中で、比較的好調な年となりました。この年は、レーガン政権による経済政策が引き続き効果を発揮し、経済の自由化や規制緩和が進んだことで、企業活動が活発化しました。特に金融サービス業や通信技術の発展が市場を牽引し、これらの分野の企業が株価を押し上げる要因となりました。また、ベルリンの壁の崩壊など、国際的な政治変動が新たな投資機会を生み出し、市場全体にポジティブな影響を与えました。このような背景の中、S&P500は+10.6%の上昇を記録し、投資家にとって非常に魅力的な年となりました。
2001年は、米国株式市場が非常に厳しい試練に直面した年でした。まず、ドットコムバブルの崩壊により、特に情報技術関連の企業の株価が大幅に下落しました。このバブル崩壊は、多くの企業が事業再編を余儀なくされ、さらには倒産する企業も続出する事態を招きました。さらに、この年は9月11日の同時多発テロという未曾有の出来事が発生し、米国経済全体に大きなショックを与えました。テロの影響で消費者信頼感が急激に低下し、経済不安が広がる中、投資家はより安全な資産への投資を求め、株式市場から資金が流出しました。結果として、S&P500は-17.3%と大幅に下落し、この年の市場は非常に不安定な状況となりました。
2013年の米国株式市場は、金融危機からの回復を続ける中で、非常に好調なパフォーマンスを示しました。この年、連邦準備制度が超低金利政策を継続し、経済成長を支えるための金融環境が整備されました。企業の収益が改善し、雇用が回復する中で、消費者の信頼感が高まり、経済全体が活気づきました。特にテクノロジー株やヘルスケア株が市場を牽引し、これらの分野の成長が株式市場全体にプラスの影響を及ぼしました。さらに、国際的な経済不安が和らぎ、投資家のリスク選好が高まったことも市場にとって追い風となりました。こうした様々な要因が重なり、S&P500は+19.0%という大幅な上昇を記録し、投資家にとって非常に満足度の高い年となりました。