【米国相場解説】労働生産性改善、インフレ圧力低下

今日のテーマは「労働生産性と単位労働コスト」です。

10日、米国の非農業部門労働生産性単位労働コストの、7-9月期の確報値が発表されました。

詳細を見ていく前に、まずは指標の基本事項を解説します。

労働生産性とは、米国経済における生産性の変化を評価するための重要な指標です。
この指標は、農業を除く全ての産業における労働生産性を測定し、経済活動の効率性や成長性を示します。
具体的には、特定の期間における総生産量、実質GDPを、労働者全体の総労働時間で割ることにより算出されます。
これにより、1時間あたりの生産量がどれだけ変化しているかを把握することができます。

一方、単位労働コストとは、特定の期間における製品やサービスの生産に対する労働コストの比率を示します。

単位労働コストは、総労働コストを、総生産量で割ることにより算出されます。

ここで、総労働コストは、企業が労働者に支払った給与や賃金の総額、およびその他の労働関連費用を指します。
一方、総生産量は、その期間中に生産された製品やサービスの総量を指します。
この計算により、1単位のアウトプットを生産するために必要な労働コストを求めることができます。

では、最新データを見ていきましょう。

7-9月期の労働生産性は、年変化率+2.0%、四半期変化率+2.2%となりました。
高金利環境にもかかわらず、2023年に入ってから、労働生産性は拡大傾向にあります。

生産性が向上することで、企業はより少ないリソースでより多くの製品やサービスを生産することができ、結果としてコスト削減や利益率の向上が期待されます。

労働生産性が拡大傾向にあったことも、景気後退を免れた主因のひとつであるといえるでしょう。

みなさんも実感しているように、2022年11月にChatGPTが発表されてから、AIの革新は凄まじいものです。

yutakabu.comでは、AI活用の更なる一般化により、高水準での、労働生産性の拡大が期待できると考えています。

次に、単位労働コストです。

7-9月期の単位労働コストは、年変化率+2.2%、四半期変化率+0.8%となりました。

労働生産性の改善も寄与し、単位労働コストは鈍化傾向にあります。

こちらのチャートは、単位労働コストとPCEデフレーターを比較したものです。
PCEデフレーターは、FRBがインフレ指標として重視している統計です。

両者は概ね連動する傾向にあり、単位労働コストが鈍化傾向であれば、長期目線で、インフレに対する過度な懸念は不要でしょう。

今回紹介したチャートは、すべてサイトに掲載していますので、よかったらチェックしてみてください。

ではまた明日!

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