【米国相場解説】FOMCに向けて、地区連銀経済報告

4日、FRBよりベージュブックが公表されました。

ベージュブックとは、地区連銀経済報告といい、FRBが年に8回発行する経済報告書です。
その表紙の色から、ベージュブックと呼ばれています。
FOMCが開催される2週間前の水曜日に、FRBにより公表され、FOMCの参考資料として使用されます。

この報告書は、全米12の地区連邦準備銀行からの、地域経済に関する情報を収集しまとめたものです。
全体的な経済活動、労働市場、物価、これら3点についてまとめられていますので、順番に見ていきましょう。

まずは全体的な経済活動です。重要なポイントを抜粋します。

ほとんどの地区で経済活動は小幅に増加
3地区が小幅または中程度の伸びを示し、他の2地区では横ばいまたは若干の減少
経済活動の伸びは概して小幅であったが、成長への期待はほとんどの地域とセクターで緩やかに上昇
ビジネスコンタクトは、今後数ヵ月間の需要増に楽観的な見方を示した
個人消費は概ね安定
各地区の消費者向け企業の多くは、消費者の価格感応度が一段と高まったことを指摘
住宅ローン需要は全体的に低水準

経済活動自体は小幅な回復ですが、今後数カ月の需要増に楽観的な見方を示すなど、大統領選を経てセンチメントが改善していることが分かりますね。

一方で、個人消費は安定しているものの、家計は価格に対して敏感になっているようです。
住宅市場も需要回復には至っていません。

次に、労働市場です。重要なポイントを抜粋します。

全地区で雇用水準は横ばいか微増に留まった
従業員の離職率が低水準で推移
人員増を報告した企業はほとんどなかった
レイオフの水準も低い
接触者は、来年も雇用は横ばいか微増にとどまるとの見通しを示した
雇用活動の回復については楽観的な見方をする者が多かった
賃金の伸びは、ほとんどの地区で小幅なペースに軟化
今後数カ月の賃金上昇に対する期待も軟化した

こちらも同様に小幅な回復ですが、今後の雇用回復に向けては楽観的な見方が増えています。

離職率が低水準であることは、転職意欲、機会が減退していることを示しており、現状はネガティブですが、今後の雇用回復に伴い離職率の上昇も期待できるでしょう。

また、レイオフ、つまり解雇の水準も低くなっているため、心配する必要はなさそうです。
一方で賃金上昇に関しては、現状も期待感も軟化しており、改善の兆しは見えてきません。

次に、物価です。重要なポイントを抜粋します。

地区全体では、物価は小幅な上昇にとどまった
消費者向け、企業向けともに、コストを顧客に転嫁することが難しくなっていると報告された
ほとんどの企業で、投入価格が販売価格を上回るペースで上昇し、利益率が低下している
投入価格は全般的に上昇したが、いくつかの地区では、特定の原材料や人件費以外のコストの下落が見られた
接触者は、現在の物価上昇ペースが持続するとの見通しを示した
いくつかの地区の企業は、関税がインフレに対する大きな上方リスクをもたらすと指摘した

重要なポイントは、コストを顧客に転嫁することが難しくなっているという点です。
全体的な経済活動のパートでもあったように、消費者の価格感応度が高くなっており、値上げが厳しくなっているようです。
この観点からみると、インフレ圧力は緩和方向にあると考えられます。

一方で、トランプ次期政権による関税政策が、インフレ圧力を強めるとの見方も出てきています。

まとめると、経済活動は小幅な回復も、センチメントは改善傾向で将来への期待感は高い。
雇用は、採用はまだ回復しないが解雇が減少、センチメントは改善傾向。
物価は、消費者の価格感応度上昇によりインフレ圧力緩和期待も、関税政策を注視。となります。

ベージュブックの内容は、サイトで都度更新していますので、よかったらチェックしてみてください。

ではまた明日!

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