5月13日|関税戦争は6月までに終結する可能性
トランプ大統領による関税戦争は、各国との貿易協定を待たずして終わりを迎える可能性がある。
2025年4月、トランプ大統領が発動した「相互関税政策」に対し、ニューヨークのワイン輸入業者V.O.S. Selectionsを含む5つの中小企業が、アメリカ国際貿易裁判所に提訴した。この訴訟は、1977年の「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づく大統領の関税導入権限の適法性と合憲性を問う重要なケースである。この訴訟の審理は5月13日に開始され、違憲と認められれば「相互関税政策」は終わりを迎える可能性がある。
裁判の経緯と進行状況
4月2日|トランプ大統領が「相互関税」を発表。この政策は、1977年の「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づき、国家の安全保障を理由に発動された。政府は、米国の対外貿易赤字の急増は「我が国の安全保障と生活様式そのものを脅かす国家非常事態」に該当すると主張。
4月14日|中小企業5社は、IEEPAに基づく関税導入は違法かつ違憲であるとして提訴。VOS訴訟は、4月2日に発表した相互関税措置のみを争点としている。
4月18日|原告側が関税の即時差し止めを求める仮処分を申請したが、裁判所はこれを却下。
5月13日|審理が開始。原告側は、国際貿易裁判所が今月末までに仮差し止め命令の要請を認めることを期待している。
原告側の主張
①IEEPAの適用要件の不備
IEEPAは「異常かつ特異な脅威」が存在する場合に限り、大統領に経済措置を講じる権限を与えるものである。しかし、トランプ大統領が関税導入の根拠とした「恒常的な貿易赤字」は50年以上続いており、緊急事態とは言えないと原告側は主張している。
②IEEPAによる関税導入権限の不存在
IEEPAは大統領に関税を課す明確な権限を与えておらず、関税導入は議会の専権事項であると主張している。
③非委任原則の違反
仮にIEEPAが大統領に広範な関税導入権限を与えていると解釈される場合、それは議会の立法権を過度に委任するものであり、憲法違反であると主張している。
④重大な問題に関する原則の適用
関税政策のような重大な経済的・政治的影響を持つ問題については、明確な議会の授権が必要であり、IEEPAのような一般的な法律に基づく大統領の単独行動は許されないと主張している。
被告側(政府)の主張
①IEEPAによる関税導入の正当性
IEEPAは大統領に「輸入の規制(regulate)」を行う権限を与えており、これには関税の導入も含まれると主張している。
②国家緊急事態の宣言の非審査性
大統領による国家緊急事態の宣言は「政治的問題」であり、司法の審査対象外であると主張している。
③非委任原則の適用除外
IEEPAは大統領に対して明確な指針と制限を設けており、過度な権限委任には当たらないと主張している。
本質
原告は、トランプ大統領が「IEEPA(国際緊急経済権限法)」を濫用し、本来は議会だけが持つべき権限――すなわち関税を課す権利=課税権――を、大統領が勝手に使ってしまったと主張。
彼らの主張の根底には、「アメリカ合衆国憲法は、経済・税制に関する最終的な権限を議会にのみ与えている」という原則がある。
また、IEEPAの目的は本来、外国からの攻撃・テロなど「突発的で異常な脅威」への緊急対応であって、50年も続いている貿易赤字を緊急事態と認定するのは無理があるという強い疑問を投げかけている。
さらに、「大統領の権限がここまで広く認められると、立法府(議会)の役割が空洞化してしまう」とも警告しており、これはアメリカの民主制度そのものを守る戦いでもあると言える。
一方でトランプ政権(および連邦政府)は、IEEPAという法律の条文は大統領に「輸入の規制」を命じることを明確に認めており、その中に高関税の課税も含まれると解釈している。
また、大統領の「緊急事態認定」は国家安全保障に関わる高度な政治判断であり、裁判所が口を出すべきではない(司法審査の対象外)と主張。これはいわゆる「政治的問題論(political question doctrine)」に基づいた立場である。
彼らは、もし裁判所が大統領のこうした経済的判断にまで踏み込んでくるようになれば、外交や安保政策の実行能力が失われてしまうという懸念も表明している。
この訴訟の本質的な問いは、次のようにまとめられる。
「経済政策における最終決定権を、選挙で選ばれた立法機関(議会)が持つべきなのか、それとも単独で行動できる大統領が持つべきなのか?」
この裁判の結論は、アメリカの民主制度のあり方に対して、明確な方向性を与える判例になる可能性がある。経済政策を超えた、立憲主義の根幹を問う裁判ともいえる。
投資家である我々はそこまで深く考えなくていいが、とりあえずの対応として差し止め要請が認められれば、相互関税は撤廃される。(争点は4月2日の相互関税のみである点に注意)株価はもちろん上昇するだろう。合わせて減税政策の規模も縮小するだろうが。。
5月12日|株式市場は「合意」を好む
取引成立の機運が高まっている。
米中貿易協議、「著しい進展」と両国代表が自賛-具体性は欠く|Bloomberg
・米国と中国は貿易戦争の緊張緩和を目指してスイスで開かれた2日間の協議を終え、「著しい進展」があったと発表。
・中国商務省次官「中国には『料理がおいしければ出される時間は問題ではない』という表現がある」「発表のタイミングがいつであれ、世界にとって朗報になるだろう」
➡果たして、本当に株式市場が好感するような内容でまとまるのか。不透明感は払拭できていないが、期待と楽観は加速する。

プーチン氏、ウクライナとの「直接交渉」求める|BBC
・プーチン大統領「我々は真剣な協議を求めている。紛争の根本原因を取り除き、永続的で強固な平和に向けて動き始めるためだ」
・両国の協議は5月15日、トルコ・イスタンブールで行われるべきだと提案
➡欧州及び米国からの圧力があったことが背景ではあるが、地政学リスクの後退につながる。

インドとパキスタン、即時の完全停戦で合意 米などが仲介|Reuters
・トランプ大統領「米国の仲介による協議の末、インドとパキスタンが完全かつ即時の停戦に合意したことを発表できることをうれしく思う」
・パキスタンのダール外相「パキスタンとインドは即時停戦に合意した」

フーシ派、米と船舶攻撃停止で合意 イスラエル攻撃は継続表明|Reuters
・トランプ大統領、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が中東の重要な航路の妨害をやめることに同意したため、米国はフーシ派に対する攻撃を停止すると表明

株式市場は地政学的緊張の沈静化を織り込み、堅調に回復を続けている。しかし投資家は、まだベア目線に固執しているようだ。
ブルベア比率
ブルベア比率は、足元のV字回復にもかかわらず、いまだ低水準にとどまっている。投資家のセンチメントはいまだ弱気のようだ。

押し目買い余力
個人向けMMFの保有額は2.9兆ドルにまで上る。これは、依然として流動性が潤沢であることを示す。

期待楽観姿勢は強まる一方で、投資家全体の買い余力は十分にある。状況的には問題ないが、解放記念日での暴落買い下げから買い増しはせず、引き続き気絶ホールドスタンスを継続。
PER水準
S&P500のPERは20倍まで回復している。関税懸念前の高値22倍までの回復期待はまだ持てない。

業績期待
対中関税が好感される水準にまで引き下げられるのであれば、下方修正されたコンセンサスは、上方修正されるか、余裕で飛び越えることになる。

他国との貿易協定頓挫や、経済指標の悪化、地政学リスクの再燃など、下落リスクも十分にあるが、そこは押し目チャンスとなると考えている。
5月12日|トランプ政権のプラスの面、減税政策はどうなる
トランプ大統領就任早々、トランプ政権の負の側面「移民政策と関税政策」が取り沙汰され、米国金融市場は動揺、景気悪化懸念まで意識されてしまっている。そんなトランプ政権の公約の中にも、金融市場に好感されるものがある。そのひとつが「減税政策」、今回はそんな減税政策の状況について共有します。
Q:減税政策の概要は?
トランプ大統領が提案している包括的な税制改革案は、2017年に導入された減税措置の恒久化を中心に、複数の新たな税制優遇策を盛り込んだ「一括パッケージ」として進められている。
トランプ政権はこの減税政策によって、足元の関税政策による景気悪化懸念を払拭したい考えである。
Q:主な内容①は?
減税政策の目玉は、大統領選挙戦で公約にしてきた「トランプ減税の延長・恒久化」である。トランプ政権は、第1次トランプ政権時の2017年に成立した「減税・雇用法(トランプ減税と呼ばれる)」の主要な減税措置を恒久化し、将来的な税率の引き上げを回避することを目指している。
大統領選挙では、民主党は高額所得者の減税措置は延長せずに失効させることを主張した一方、共和党はすべての所得層に対して減税措置を恒久化することを主張した。
Q:主な内容②は?
第二次トランプ政権の減税政策には、トランプ減税のみならず、更なる減税策が追加される。主な追加減税策は下記の通りである。
・チップ、社会保障給付金、残業代への課税の廃止
・アメリカ製の自動車やバイクのローン利息の控除
・新工場建設への全額即時償却
・国内製造業者への法人税率の15%への引き下げ
Q:減税政策の効果は?
①可処分所得の増加
チップ収入・残業手当・社会保障給付への課税廃止などにより労働者の手取り収入が増加。可処分所得が増加することで個人消費が活発になる。
②企業投資の促進
工場建設の即時償却や法人税率の引き下げによって、企業が国内投資を増やす可能性がある。国内製造業への誘導が強まることで、雇用の創出も期待される。
③景気刺激効果
減税により景気全体が加速し、短期的にはGDP成長率が上昇する可能性がある。
④企業業績の拡大
チャートは、法定税率1%の変動がもたらす利益への影響を示している。とりわけ感応度が高いのは中小企業。小型株にチャンス到来か。

Q:減税政策の懸念は?
財政赤字・政府債務の拡大懸念。
とりわけトランプ減税の恒久化は、中長期的な財政赤字、政府債務の拡大につながると考えられている。議会予算局は、大型所得減税の延長によって政府債務のGDP比率が30年後には220%と、現在の100%程度から倍増すると試算している。
Q:懸念にどう対処する?
トランプ政権は財源確保のため、以下のような策を検討していると見られている。(これらの歳出削減策も「包括的な税制改革案」に盛り込まれている)
・低所得者や障害者など社会的弱者を対象とする公的医療保険「メディケイド」の削減
・バイデン政権下で導入された「インフレ抑制法(IRA)」の税制優遇措置の削減
・大学の基金やプロスポーツチームオーナーへの税制優遇措置の見直し
・投資利益の通常所得としての課税
さらに、増加する”はず”の関税収入も、減税政策の財源に充てると主張している。
Q:スケジュールは?
共和党は、議会が休会となる5月22日までに減税政策を盛り込んだ法案を下院で可決し、上院へ送付。さらにベッセント財務長官によると、独立記念日の7月4日までの成立を目指している。
トランプ陣営(共和党)は、減税案を実現するため、「債務上限を引き上げる代わりに、この税制改革案を丸ごと通してほしい」と債務上限問題を交渉材料に使おうとしている。
5月11日|S&P500のPERは高すぎるのか
直近安値から半値戻しを達成したS&P500のバリュエーション状況を共有します。
Q:足元のPERは?
5月9日時点でのS&P500のPER(赤)は20.4倍、マグニフィセント7のPER(ピンク)は25.0倍、中小型株指数のPERは15倍前後となっている。

Q:高いのか?低いのか?
関税政策の懸念が生じる前のS&P500は、低くてPER20倍、高くてPER22倍前後の水準だった。今年のS&P500は、関税政策懸念第1段階(相互関税発表前)で20倍まで下落し、関税政策懸念第2段階(相互関税発表)で18倍まで下落。その後の緊張緩和で足元20倍(関税懸念が生じる前の世界の安値)を超えて回復している。
この水準が高いのか低いのかは、PERがさらに上昇し、関税懸念が生じる前の世界の高値(22倍)まで拡大する可能性が高いのかを考えればよい。対中関税が10%に引き下げられればあり得る。

Q:金利との比較は?
PERの決定要因として金利が挙げられるが、足元の4%を超える金利水準でPERが20倍以上あるのは、ヒストリカルで見ると高すぎるように見える。(この論争は2024年に盛んだった)
金利に影響力を持つのはFRBだが、FRBはご承知の通り動くつもりはない。金利が3%、2%と低下していくことは、近い将来には訪れないだろう。

Q:業績との比較は?
業績成長の目線感が切りあがっているのであれば、高いPERは許容されると考えられている。が、足元残念なことに、利益のリビジョンは大きく悪化している。

さらに悲しいことに、売上のリビジョンも大きく悪化している。トップラインの成長期待鈍化は、バリュエーションに最もネガティブに作用する。

最近の動画で言及しているように、Q1の決算は非常に堅調で、リビジョンも改善拡大することとなった。しかし、その一方で、関税影響を織り込んでか、Q2以降の業績成長見通しが著しく下方修正されている。株価とバリュエーションを左右するのは、”将来の”業績である。Q2以降の成長鈍化はバリュエーションにネガティブに働く。

Q:では株価はもう上昇しないのか?
そんなことはない。バリュエーションが頭打ちとなろうとも、業績が市場予想を上回ればよいだけである。幸いなことに、先ほどチャートで示したように、Q2以降の業績ハードルは ”関税政策のおかげで” 下がってきている。

この低いハードルを飛び越えるだけで、期待EPSは上昇し、株価は上昇する。つまり、PERが20倍で停滞しようとも、EPS増加分のリターンは享受できる。嬉しいことに、2026年には「減税政策」の効果が出てくる可能性がある。減税政策によって企業業績は分かりやすく拡大する。
祈るべきことは、この低いハードルをくぐってしまうほど、関税の影響が企業業績に出ない事である。
4月27日|すでに景気後退入りしているのか
足元、景気後退入りしているのか。現在の状況を共有します。
Q:景気後退とは?
A:一般的には、景気後退は国内総生産(GDP)が2四半期連続で減少する状況を指します。ただし、他の指標も考慮されるため、NBERの公式判断とは異なる場合があります。
Q:足元のGDPがマイナス成長しているのかどう判断する?
A:簡単な方法はGDP予測モデルを確認すること。アトランタ連銀のGDPナウが有名。

グラフを見ると、金の輸出入を考慮したGDPモデルでも、マイナス成長を見込んでいることが分かる。では、景気後退入りしているのか?

各項目の寄与度を分解して見ると、マイナスとなっている項目は純輸出のみ。重要な個人消費や設備投資は低水準だがプラス。これは純粋な景気後退入りを示唆するマイナス成長とは言えない。
Q:他の方法は?
アトランタ連銀のほかに、ニューヨーク連銀が公表しているGDP予測モデルもある。
GDPナウとは違い、ボラティリティが低いモデルになっている。ナウキャストモデルは景気後退を示唆していない。

Q:重要な要素、個人消費の動向は?
A:関税影響により、消費者信頼感指数は急落。消費抑制による景気悪化が懸念されている。

しかし現実は、実質小売売上高は堅調にトレンドラインを死守している。(関税前の特需に支えられているだけという見方が大半)

さらに最新のデータで見ると、レッドブック小売売上高は4月18日の週に前年比7.4%の増加となった。

さらに、消費者の支出期待を測る指標として、米国のクレジットカード会社の株価動向を見る。いずれの企業も堅調な株価推移となっている。

すべて相互関税実行前の駆け込み需要を反映したものだといえば元も子もないが、このまま関税政策緩和へと向かえば、消費懸念は杞憂に終わる。多少の関税がかかっても大した影響は出ないかもしれない。
Q:労働市場は?
失業率が急速に悪化する予兆はない。

雇用者数も同様。採用凍結してはいるが、景気後退を招くほどの状況ではない。雇用者数が急速に悪化することはなさそう。

4月24日|マグニフィセント7、買い場なのか
マグニフィセント7のアナリストでもなければ、ネットで拾える情報ですら大して拾っていないので、株価の状況だけ共有します。マグニフィセント7は、S&P500に対して底打ちとなるか、みなさんの投資判断に役立つことを祈っています。
Q:現在の株価水準は?
A:去年の夏の安値まで調整。S&P500に対する相対指数も去年の夏の水準までアンダーパフォーム。

Q:業績トレンドは?
A:(まだ)堅調に推移。S&P493を優に上回るペースで利益拡大。

Q:S&P500に占める割合は?
A:時価総額は28%程度と、去年の夏ぐらいまで低下。一方で、利益と売上は堅調に拡大。利益に至っては全体の22%を占めるまでに成長。

Q:業績成長ペースは?
A:下方修正・鈍化傾向。とりわけ長期成長ペースが、ディープシークの出現以降、著しく下方修正されている。

Q:利益率は?
A:期待利益率は26%まで急上昇してきたが、頭打ち感が生じている。直近の企業活動の停滞や景気後退懸念による下押し圧力と、コストコントロール力への信頼感どちらが勝るか。

Q:バリュエーション(PER)は?
A:予想PERは、2022年のベア相場の最安値まで到達。一方でS&P493は依然高水準。絶対値では他企業と比べバリュエーションは高いが、ヒストリカルの相対感でいえば、マグニフィセント7はいち早く調整を完了させている印象。

Q:利益成長とPERの比較は?
A:PERが利益成長に基づくと仮定するならば、足元の予想PERは、15%成長までの下方修正を織り込んでいる。

Q:今後の注目点は?
A:利益予想がマイナス成長となるか。

4月23日|最大の命題:米国株と金、どちらを買うべきか
足元の金融市場、最大の命題と言っても過言ではない「米国株と金、どちらを買うべきか」について、1つのチャートを用いて判断材料を共有します。
Q:足元の株と金の相対感は?
A:相対指数で見てみる。
上昇は株のアウトパフォーム、下落は金のアウトパフォームを示す。
ここ数週間で金は株を大幅にアウトパフォームし、ついに2020年のコロナによるリセッション時と同じ水準まで戻してきた。
つまり、コロナによって株が暴落した際に、株を買おうが金を買おうが、今となればリターンに差は生まれていないということ。

Q:相対感で見ればどちらが割安?
A:短期で見れば、相対指数はレンジの下限。金よりも株の方が魅力的に見える。
Q:中長期での比較は?
A:2010年代後半から中期でも強固なレンジが形成されている。長期で見れば(レンジを下方向にブレイクするのであれば)、まだ金のアウトパフォーム余地は大きい。

Q:レンジがブレイクされるきっかけは?
A:これまでレンジをブレイクした時の理由は明確。
上方向にブレイクするときは、景気拡大期。1990年代が象徴している。
下方向にブレイクするときは、景気後退・景気低迷。2000年代が象徴している。

Q:このままレンジを下方向にブレイクするのは何を意味する?
A:水準としては、リーマンショックの領域に。ほぼほぼ景気後退入りを示唆する事になる。
Q:金を買うべきか?株を買うべきか?
A:景気後退を想定するならレンジのブレイクを見据えて、金ロング、株ショート。
景気後退を想定しないのであれば、株ロング、金ショート。
(考えるのが疲れる人は脳死で両方持つ。一番強いかもしれない。)
今は明確にターニングポイントを迎えている。
イナゴに追随するか。無謀な逆張りを仕掛けるか。
4月22日|米中貿易戦争の最悪のシナリオは”台湾侵攻”か
Q:中国は米国への報復措置として何をしている?
①米国製品への125%の関税
②米国企業への規制|輸出管理の対象リストや信頼できない企業リストに、数十の米国企業を追加
③独禁法違反の疑いとしてグーグルの調査を開始
④国内航空会社にボーイング機の納入受け入れ停止を指示
⑤レアアースの輸出制限|武器製造に打撃(ミサイル防衛システム、潜水艦、F35など)
⑥ハリウッド映画の輸入制限
⑦WTOに提訴
⑧各国に呼びかけ
Q:米中貿易戦争の最悪の結末①は?
デカップリング(経済分断)
米中が完全に異なる経済圏(ブロック経済)を形成し、技術・通貨・物流が二分される可能性
・各国は「米国陣営 vs 中国陣営」のどちらに属するかを迫られる(すでに始まっている)
・サプライチェーンの再編:中国は内製化、米国側はインド・ベトナムあたりか(すでに始まっている)
・為替と金融のブロック化:金と暗号通貨に注目
・SNS・クラウドの分離
Q:米中貿易戦争の最悪の結末②は?
台湾侵攻
・習近平政権は「2049年までの国家統一」を掲げており、台湾統一は国家の核心的利益。
・国内の不満や経済減速をナショナリズムで逸らすため、対外的強硬路線が取られる可能性も。
経済的孤立→軍事行動のトリガーになる可能性
・歴史的に見ても、経済的に追い詰められた国家が対外侵略や武力行使に踏み切るケースはある。(大日本帝国、ナチスドイツ)
・中国は景気減速による国内の不満を逸らすために、ナショナリズムのカードを切る可能性はある。
習近平政権の内部事情
・習近平はすでに3期目に入り、長期政権を視野に入れている。台湾統一を自身のレガシーとする意図は強いはず。
・経済成長の鈍化と関税政策による更なる悪化で、「敵は外にある」構図を作りやすい状況。
トランプ大統領の「台湾侵攻」に対する考えは?
2024年10月18日のWSJの記事
台湾侵攻に対して軍事力を使うか?
トランプ大統領「そうする必要はない。なぜなら、習近平は私を尊敬し、私がイカれているのを知っているからだ」
「もし台湾に侵攻したら、申し訳ないが150%から200%の関税を課す」
さて、時を戻しましょう。
トランプ大統領はすでに中国に145%の関税というカードを切っています。
習近平政権が怯える必要は何もありません。
とはいえ、普通に考えれば、まずは話し合いをするはず。プライドが高すぎるがゆえに硬直状態が続いているが、話し合いもないまま経済分断・台湾侵攻とはならないはず。(はず)
4月21日|FRBは再び役立たずとなるか
パウエル議長「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的なインフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」
「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」
Q:この発言は何を意味する?
A:労働市場が悪化しても、インフレ抑制を優先するということ。

Q:利下げ期待は?
A:後退した。労働市場はまだ耐えているうえに、インフレは関税によって先行き不透明。言葉通りなら利下げをする意味がない。
トランプ大統領「対応が遅すぎる、一刻も早く解任すべきだ」
パウエル議長が発言通り行動を起こすのであれば、利下げは間違いなく遅れる。そう、2022年の利上げが遅すぎたように。
Q:利下げが遅れると株価はどう反応する?
A:チャートを見てみよう。

Q:景気後退入りせずに株価上昇するには?
A:FRBには頼れない。利下げという武器を失った今、頼れるのは政策のみ。
①関税政策を取り下げる
②早期に貿易協定が結ばれる(中国とも)
③関税政策の一方で、市場が好感する経済政策が出てくる
4月19日|金はバブルなのか
Q:バブルとは
A:資産価格(株式、不動産など)が実際の価値以上に急激に上昇する現象
Q:バブル崩壊とは
A:過剰に膨らんだ資産価格が急激に下落すること。金融危機や経済不況を引き起こすことがある。
Q:金にバブルという状態はあるのか
・実際の価値以上に急激に上昇するのがバブルであるが、金の実際の価値をどう測るのか。株のように企業利益や配当に基づいているわけではないし、債券や通貨のように金利や利子に基づいているわけではない。
・後々に金融危機や経済不況をもたらすのがバブルであるが、金価格の下落によって不況に陥ったことは、金本位制の崩壊以降事例がない。

・ニクソン大統領が1971年8月15日に金とドルの固定相場制を廃止。金本位制の事実上の廃止が行われてから、金価格は2度の強気相場を経験。
・最初の強気相場では、1970年8月から1980年1月にかけて20倍に急騰。2度目の強気相場では7倍に上昇。そして今、3度目の強気相場となっている。
参考チャート

・世界中の中央銀行は、2022年初頭から外貨準備における金の保有比率を高めてきた。
・これは2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した後のこと。
・米国と同盟国はロシアの外貨準備高2800億ドルを凍結。
・その結果、米国に敵対する国の中央銀行は、外貨準備高をドルから金に転換する動きに。
参考チャート

・中国は2022年後半から国際準備金に占める金の割合を増やしている。
参考チャート

Q:金はどこまで上昇するのか
金の価格を評価する方法は、株や債券のようによく練られているものではない。が、ないことはない。


・中国やロシアなど、米国に敵対している国は、金の準備比率を益々引き上げるだろう。
・ドルの地位が揺らいでいる今、米国に敵対している国以外の国の中央銀行も金の準備比率を引き上げるかもしれない。
・米国は「金の再評価」によって財政赤字を解消し、大規模なソブリンファンドを作るために金価格を吊り上げるかもしれない。(吊り上げてもバブルにはならないかも)