米失業率とNFIBが発表する新規雇用計画指数は、逆相関の関係にある。
失業率とは
米国の失業率は、労働市場の状態を示す重要な経済指標である。失業率とは、労働力人口に占める職を求めているが職に就いていない人々の割合を指す。労働力人口には、現在就業している人と積極的に職を探している失業者が含まれるが、職探しを諦めた人や学生、退職者などの非労働力人口は含まれない。
失業率のデータは、米国労働省労働統計局(Bureau of Labor Statistics、BLS)が毎月発表しており、家計調査(Current Population Survey、CPS)に基づいている。この調査は、米国内の約60,000世帯を対象に行われ、失業率の他に就業率や労働参加率などのデータも収集される。
失業率は経済の景気循環、産業構造の変化、技術革新、政府の経済政策などの多くの要因によって影響を受ける。一般に、景気が拡大する局面では失業率は低下し、景気が後退する局面では上昇する傾向にある。低い失業率は経済が好調であることを示し、高い失業率は経済の停滞や後退を示す。しかし、極端に低い失業率は労働市場の過熱を示し、インフレ圧力を引き起こす可能性もあるため、必ずしも望ましい状況ではない。
失業率にはいくつかの種類が存在する。最も一般的に引用されるのはU-3失業率であり、これは公式の失業率として広く認識されている。U-3失業率は、職を探しているが職に就けない人々の割合を示す。一方、U-6失業率は、パートタイムでの仕事を求めているがフルタイムの仕事が見つからない人や、職探しを諦めた人も含めた広義の失業率である。U-6失業率は、労働市場のより包括的な健康状態を示すため、経済分析において重要な指標とされることがある。
NFIB 新規雇用計画とは
NFIB(全米独立企業連盟:National Federation of Independent Business)の新規雇用計画指数は、中小企業の雇用意欲を測る重要な経済指標である。この指数は、NFIBが毎月実施する中小企業経済動向調査の一部であり、特に今後数カ月以内に新たな従業員を雇用する計画を持つ企業の割合を示している。
新規雇用計画指数は、経済全体の動向や労働市場の健康状態を理解するために重要な情報を提供する。この指数が高い値を示す場合、それは中小企業が将来的に成長を見込んでおり、新たな労働力を必要としていることを意味する。逆に、指数が低い場合は、企業が経済の不確実性や需要の低迷を懸念して新規雇用を控えていることを示す。
NFIBの調査は、全米の中小企業経営者を対象に行われるため、この指数は中小企業の動向を反映する。中小企業は米国経済において大きな役割を果たしており、特に雇用面で重要である。米国の労働市場の約半分を中小企業が占めているため、彼らの雇用計画は全体の雇用情勢に大きな影響を与える。