グラフは、小型株相対指数(ラッセル2000/S&P500)と、イールドスプレッド(米10年債利回り-2年債利回り)を表示したものです。両者は連動する傾向にあることが分かります。
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イールドスプレッドとは
イールドスプレッド(米10年債利回り-米2年債利回り)とは、米国の10年物国債の利回りと2年物国債の利回りの差を示す指標です。このスプレッドは、経済の健康状態や将来の景気動向を予測するための重要な経済指標とされています。
まず、利回りとは債券の価格に対する年間利息の割合を示します。米国の国債は、安全性が高く、リスクが低い投資先とされています。そのため、利回りは市場の需要と供給、そして投資家のリスク回避姿勢によって影響を受けます。一般に、長期債(10年物)の利回りは、短期債(2年物)よりも高くなることが多いです。これは、長期の投資にはリスクが伴うため、投資家がそのリスクに対してプレミアムを要求するからです。
しかし、経済が不安定な状況や景気後退が予測される場合、短期債の利回りが長期債の利回りを上回る逆イールドカーブが発生することがあります。この現象は、投資家が短期的なリスクを避け、安全な長期債に資金を移動させるために起こります。その結果、長期債の需要が増え、利回りが低下し、短期債の利回りとの差が縮小、さらには逆転することがあります。
イールドスプレッドがプラスである場合、すなわち10年物国債の利回りが2年物国債の利回りを上回っている場合、これは一般に経済が安定して成長していることを示します。一方、イールドスプレッドがマイナスになる逆イールドの場合、これは将来的な景気後退の兆候とされ、歴史的に見ても逆イールドが発生すると、その後にリセッション(景気後退)が続くことが多いとされています。
イールドスプレッドの拡大が示唆すること
イールドスプレッドが拡大している状況とは、米国の10年物国債の利回りと2年物国債の利回りの差が大きくなっていることを指します。具体的には、長期金利(10年物国債の利回り)が短期金利(2年物国債の利回り)よりも大幅に高くなっている状態です。このような状況が示唆するものについて解説します。
まず、イールドスプレッドの拡大は、経済が成長していることを示すポジティブなシグナルとされることが多いです。通常、経済が健全な成長を続けている場合、投資家は将来のインフレや経済活動の活発化を予期します。その結果、長期金利が上昇し、スプレッドが拡大します。これは、投資家が将来のリスクに対して高いリターンを要求していることを反映しています。
また、中央銀行の金融政策もイールドスプレッドに影響を与えます。例えば、中央銀行が短期金利を低く設定し続ける一方で、長期金利が市場の期待によって上昇する場合、スプレッドは拡大します。このような状況は、中央銀行が経済刺激策を続けている間に、投資家が将来的なインフレや金利上昇を見込んでいることを示唆します。
一方で、イールドスプレッドの拡大が必ずしも経済の健全な成長だけを示しているわけではありません。特定の市場状況や外部ショックによってもスプレッドが拡大することがあります。例えば、地政学的リスクやその他の不確実性が高まると、投資家は安全資産である長期国債を避ける傾向が強くなり、その結果として長期金利が上昇し、スプレッドが拡大することもあります。
さらに、イールドスプレッドの拡大は、金融市場における資金の流れや投資家のリスクアペタイト(リスク許容度)を反映するものでもあります。リスクアペタイトが高まると、投資家はより高リスクの長期投資に対して積極的になり、その結果、長期金利が上昇することがあります。
まとめると、イールドスプレッドの拡大は一般的には経済成長やインフレ期待の高まりを示唆するポジティブなシグナルとされますが、外部要因や市場の不確実性によっても変動するため、その背景を十分に理解することが重要です。経済アナリストや投資家はこの指標を注意深く監視し、その変動の背後にある要因を総合的に分析することで、より正確な経済予測や投資判断を行うことが求められます。
イールドスプレッドと小型株相対指数の相関が高い理由
イールドスプレッドと小型株相対指数の相関が高い理由について説明します。具体的には、イールドスプレッドが拡大すると小型株がアウトパフォーム(市場全体よりも優れたパフォーマンスを示す)する傾向がある理由を探ります。
まず、イールドスプレッドの拡大は一般に経済の成長期待が高まっていることを示します。長期金利(10年物国債の利回り)が短期金利(2年物国債の利回り)を上回る場合、投資家は将来のインフレや経済成長の加速を予期しています。このような状況では、経済が成長する中で小型株が特に恩恵を受けやすいと考えられます。
小型株は一般に、大企業に比べて成長ポテンシャルが高いとされています。経済が拡大している時期には、消費者支出の増加や企業投資の拡大が見込まれ、特に成長性の高い小型企業はその恩恵を受けやすいです。これにより、小型株の収益性が向上し、株価が上昇する傾向があります。
次に、金融環境の影響も無視できません。イールドスプレッドが拡大する際、短期金利が低く抑えられている一方で、長期金利が上昇している場合があります。低金利環境は企業にとって借り入れコストが低くなるため、特に資金調達が重要な小型企業にとって有利です。低金利での借り入れが可能になると、小型企業は成長のための資金を調達しやすくなり、事業拡大や新規プロジェクトの実施が促進されます。
また、投資家のリスクアペタイト(リスク許容度)も重要な要因です。経済が成長し、イールドスプレッドが拡大する状況では、投資家はリスクを取りやすくなります。小型株は一般にリスクが高いとされますが、成長期待が高まると投資家はこれらのリスクを受け入れやすくなり、小型株に対する需要が増加します。この結果、小型株の株価が上昇し、アウトパフォームする傾向が強まります。
最後に、セクターローテーションの影響も考慮するべきです。経済の成長が見込まれる局面では、投資家は防御的な大型株から成長性の高い小型株へと資金をシフトすることがあります。このような資金の流れが、イールドスプレッドの拡大に伴って小型株がアウトパフォームする一因となります。
以上の理由から、イールドスプレッドの拡大と小型株相対指数の高い相関が説明されます。経済成長の期待、低金利環境、リスクアペタイトの変化、そしてセクターローテーションが組み合わさることで、小型株が市場全体よりも優れたパフォーマンスを示す傾向が強まるのです。