【経済指標チャート】ISM非製造業景況指数(非製造業PMI)

ISM非製造業景況指数』は、アメリカの非製造業(サービス業)セクターの経済活動を評価するための指標です。これは、Institute for Supply Management(供給管理協会)が毎月発表するもので、購買担当者からのアンケート調査に基づいています。この指数は、ビジネス活動、新規受注、雇用、供給者の納期など、複数の要素を総合的に評価して算出されます。指数は50を基準とし、50を上回ると非製造業セクターが拡大していることを示し、50を下回ると縮小していることを示します。ISM非製造業PMIは、サービス業の経済の健康状態を把握するために重要であり、特にGDPの大部分を占めるサービスセクターの動向を分析する際に役立ちます。対をなす指標として、製造業セクターを対象とした『ISM製造業景況指数』があります。

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【経済指標チャート】米消費者物価指数CPI vs ISM非製造業 仕入価格指数

2025年12月

米国のサービス業は昨年12月、活動の拡大ペースが加速した。事業活動が上向き、仕入れ価格指数は2023年早期以来の高水準となった。12月は18業種のうち15業種が仕入れ価格の上昇を報告。価格低下を報告した業種はゼロだった。多くの業種で総じて楽観的な見方が示されたが、大半の回答者から関税に対する懸念の声が上がった。

Services PMI®
IndexSeries Index DecPercent Point ChangeDirectionRate of ChangeTrend** (Months)Series Index Dec
Services PMI®54.1+2.0GrowingFaster649.3
Business Activity/ Production58.2+4.5GrowingFaster650.3
New Orders54.2+0.5GrowingFaster652.5
Employment51.4-0.1GrowingSlower345.3
Supplier Deliveries52.5+3.0SlowingFrom Faster150.1
Inventories49.4+3.5ContractingSlower248.4
Prices64.4+6.2IncreasingFaster9152.5

ISM非製造業景況指数とは

ISM非製造業景況指数(ISM Non-Manufacturing Index)は、米国の非製造業セクター、特にサービス業の経済活動を測定するための重要な指標であり、毎月米国供給管理協会(Institute for Supply Management, ISM)によって発表されます。これは、米国経済の動向を理解する上で重要な役割を果たしています。ISM非製造業景況指数は、一般にサービス業を対象としており、製造業を対象とするISM製造業景況指数と対をなす存在です。これらの指数は、経済の異なる側面をカバーし、総合的な経済の健康状態を評価するために利用されます。

この指数は複数の構成要素から成り立っており、それぞれが非製造業のさまざまな側面を測定しています。具体的には、新規受注、事業活動、雇用、供給者配送の4つの主要要素に基づいています。新規受注は、企業が受け取った新たな注文の量を示し、この指標の上昇は需要の増加を示唆し、経済の拡大傾向を示します。事業活動は、企業が実施する業務の活動レベルを測定し、この指標が高いほど企業の活動が活発であることを示します。雇用は、企業による雇用の増減を示し、雇用の増加は経済活動の活発化を示すと同時に、労働市場の健全性を反映します。供給者配送は、供給者からの納品速度を示し、納品の遅延が増えると指数が高くなります。これは、需要の増加や供給チェーンのボトルネックが原因である可能性があります。

これらの構成要素を総合して算出されるISM非製造業景況指数は、50を基準値として解釈されます。指数が50以上であれば非製造業セクターが拡大していることを示し、50未満であれば縮小していることを示します。たとえば、指数が55であれば、非製造業セクターが拡大していることを示し、逆に45であれば縮小していることを意味します。この指標は、米国経済の約80%以上を占めるサービス業の動向を反映しており、したがってアメリカ経済全体の健康状態を把握するための重要なツールとなります。

サービス業には、金融、保険、不動産、交通、通信、医療、教育、政府サービスなど、多岐にわたる分野が含まれています。これらの分野は、製品の生産に直接関与しないものの、経済の重要な部分を占めています。したがって、ISM非製造業景況指数の動向は、これらのセクターの健全性を評価するための有力な手段となります。特に、サービス業は消費者支出や企業の投資活動と密接に関連しており、経済の成長や収縮に直接影響を与えることから、この指数の変動は経済全体の方向性を示す重要な指標となります。

さらに、ISM非製造業景況指数は、経済アナリスト、投資家、政策決定者にとっても非常に重要な参考資料となります。指数が上昇すると、一般に経済が拡大していることを示唆し、これにより株価の上昇や金利の引き上げが予想されることがあります。逆に、指数が低下すると、経済の停滞や縮小が懸念され、政府や中央銀行による政策介入が求められる可能性が高まります。特に、中央銀行はインフレや失業率の管理においてこの指数を参考にし、金融政策の方向性を決定する際の一つの要素として活用します。

まとめると、ISM非製造業景況指数は、米国の非製造業セクター、特にサービス業の経済状況を測定し、経済のトレンドを理解するための重要な役割を果たしています。この指数は、サービス業の動向を通じて、アメリカ経済全体の健康状態を示す指標として広く活用されています。経済活動の多様な側面を包括的に反映するこの指数は、経済政策の策定や市場の分析においても欠かせない要素となっています。したがって、ISM非製造業景況指数は、米国経済に関心を持つすべての関係者にとって不可欠な情報源と言えるでしょう。

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