【商品チャート】ISM製造業景況指数 vs 銅/金 相対指数

チャートは、『ISM製造業景況指数』と、『銅と金の相対指数』を示したものです。赤線の上昇は銅が金をアウトパフォームしていることを、下落は金が銅をアウトパフォームしていることを意味します。ISM製造業景況指数の上昇時には銅がアウトパフォーム、下落時には金がアウトパフォームする傾向にあります。

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なぜ『ISM製造業景況指数』と『銅金相対指数』は連動する傾向にあるのか

ISM製造業景況指数銅と金の相対指数が連動する傾向がある理由をより詳細に考察すると、いくつかの経済的および市場心理的要因が絡み合っていることがわかります。これらの指数の動きは、経済の状況、金属市場の特性、そして投資家の行動によって説明されます。

まず、ISM製造業景況指数について詳しく説明します。この指数は、アメリカの供給管理協会(Institute for Supply Management, ISM)が毎月発表するもので、製造業の購買担当者へのアンケート調査に基づいています。この調査は、新規受注生産雇用供給者の納入状況在庫の5つの主要な構成要素から成り立っています。各構成要素は、それぞれの業界における活動の拡大または縮小を示すために50を基準値とした指数として表現され、これらを総合してISM製造業景況指数が算出されます。この指数が50を超えると製造業の拡大を示し、50を下回ると縮小を示します。

次に、銅と金の特性について考察します。銅は産業用途が非常に広く、電気機器、建設、自動車、通信機器など、さまざまな分野で使用されるため、経済活動の指標としてよく用いられます。特に、銅の需要は経済成長に敏感に反応するため、経済が拡大する局面では需要が増し、価格が上昇する傾向があります。これに対して、金はその希少性と耐久性から、長らく価値の保存手段として用いられ、特に不確実性が高まる局面での「安全資産」としての役割を果たします。インフレーションや通貨の不安定性、地政学的リスクの増大などの際には、投資家は金を購入し、その価格が上昇することが一般的です。

ISM製造業景況指数が高い値を示す場合、これは通常、製造業の活動が活発であり、経済全体が成長していることを示唆します。このような状況は、一般的に銅の需要を押し上げ、価格を上昇させる要因となります。銅の価格が上昇する背景には、製造業の拡大に伴う実需の増加があり、これは銅の市場における供給不足をもたらす可能性があります。一方で、経済が好調であることは、リスクの高い資産への投資が活発になることを意味し、金のような安全資産への需要は相対的に減少し、価格が下落することが多いです。

これに加えて、市場の心理的要因も重要です。ISM製造業景況指数が発表されると、投資家はこれを基に今後の経済環境を評価し、資産配分を調整します。指数が予想を上回ると、経済の成長期待が高まり、リスク資産への投資が増える傾向があります。この市場の動きは、銅の価格をさらに押し上げ、金の価格を下押しする要因となります。逆に、指数が予想を下回ると、経済の減速懸念が高まり、金の需要が増して価格が上昇する一方、銅の需要が減少し価格が下落することがあります。

さらに、銅と金の相対指数が連動するもう一つの要因は、グローバルな商品市場の構造です。銅と金はどちらも国際的な商品市場で取引されており、これらの市場では、供給と需要のバランス、投機的な動き、そして各国の経済政策が価格に影響を与えます。特に、主要な消費国である中国やアメリカの経済指標や政策変更は、これらの金属の価格に大きな影響を与えるため、ISM製造業景況指数のような主要な経済指標が発表されると、その影響が国際市場に波及することがあります。

このように、ISM製造業景況指数と銅と金の相対指数が連動する背後には、経済の基礎的な需要と供給の動き、そして市場参加者の心理的な反応が複雑に絡み合っていることが理解できます。これらの要因が相互に作用し合うことで、経済指標と金属価格の動きが密接に関連付けられるのです。

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