シカゴ連銀 金融環境指数（NFCI）｜最新チャート

シカゴ連銀の金融環境指数（NFCI: National Financial Conditions Index）は、アメリカの金融市場の状況を包括的に評価するためにシカゴ連邦準備銀行が作成した指数です。この指数は、金融市場のストレス、リスク、流動性、信用条件などを測定し、経済全体の金融環境を把握するための重要な指標です。NFCIは、金融市場の健全性やストレスの度合いを評価する目的で設計され、政策立案者や投資家、経済学者に広く利用されています。

NFCIは、リスク、流動性、信用の3つの主要な側面をカバーするデータを統合して作成されます。リスクは金融市場における不確実性やボラティリティを測定し、流動性は市場での資金の流れや取引のしやすさを評価します。信用は、銀行の貸出基準や企業の借入コストなど、金融市場における信用条件を反映します。これらのデータを統合することで、金融環境全体の状態を示す総合的な指数としてNFCIが算出されます。

NFCIの値は、金融環境が通常の状態に比べてどの程度緩和されているか、または引き締まっているかを示します。値が0に近い場合は「通常の状態」、プラスの値は「引き締まった状態」、マイナスの値は「緩和された状態」を意味します。引き締まった状態は金融市場のストレスが高まっていることを示し、緩和された状態はリスクが低く流動性が高いことを示します。

また、NFCIには経済活動やインフレの影響を除外した「調整済みNFCI（ANFCI）」もあり、金融環境そのものの変化をより正確に測定することができます。NFCIは週次で更新されるため、金融市場の最新状況を迅速に把握することが可能です。

NFCIは、金融政策の決定や市場リスクの評価、経済研究などに活用され、特に金融危機や市場の混乱時に重要性が高まります。例えば、2008年の金融危機や2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミック時には、NFCIが金融市場のストレスを示す重要な指標として注目されました。このように、NFCIは金融市場の健全性を評価するための包括的なツールとして広く利用されています。