トランプ大統領によるパウエルFRB議長解任計画をめぐって米国市場は乱高下

17日(米国16日)の米国市場は昼ごろに乱高下した。S&P500はプラス圏からマイナス0.6%まで短時間で下落。

急落理由:トランプ大統領がパウエルFRB議長を近く解任する可能性があるとの報道を受け、米国売りが行われた。ブルームバーグは、トランプ大統領が近くパウエル議長を解任する可能性が高いと、匿名のホワイトハウス当局者が語ったと報じた。CBSニュースはまた、トランプ大統領が下院共和党議員らにパウエル議長の解任について尋ね、出席者が賛成を表明したとも報じた。この報道を受けて、米国株だけでなく米国債も売られた。ドルも売られた。

米国売り:なぜトランプ大統領がパウエルFRB議長を辞めさせようとすると米国売りが行われるのか。米国債やドルの安定性は、政治から一定の距離を保ち物価安定を優先するFRBの信頼に依存している。そのため、トランプ大統領によるパウエル議長解任は、FRBの独立性が損なわれ、通貨・債券の信任低下、米資産のリスクプレミアム上昇につながる。

市場回復:トランプ大統領は、複数の報道で、同氏が共和党議員らに対しパウエルFRB議長の解任が近いと伝えたと報じられたにもかかわらず、解任計画を否定した。否定したことを受け、市場は回復した。

発言:トランプ大統領「何もするつもりはない」「何も可能性を排除するわけではないが、可能性は極めて低いと思う。不正行為で辞任せざるを得なくなるようなことがあれば話は別だが」

見解:今回は米国売りという市場反応になったが、必ずしも大統領がFRB議長の解任を計画したからといって米国売りになるわけではない。パウエルFRB議長が市場の意に反した発言や姿勢を示しているのであれば、トランプ大統領が解任を迫ったとしても、市場はむしろそれを支援するだろう。しかし今回の反応を見る限りでは、市場はパウエルFRB議長を擁護しているように思える。そうであればトランプ大統領も迂闊には手を出せない。

トランプ大統領としては、議長の座から早々に下ろすことを画策するよりも、任期終了後に理事として続けさせないように画策する方がいいかもしれない。

タイトルとURLをコピーしました