投資家はこれらの米国株に注目してください:ウォルマート、コストコホールセール、ビザ、マスターカード

米国小売大手のウォルマートとコストコホールセールの株価は、足元で精彩を欠く展開となっている。S&P 500 に対する相対株価は下落基調にあり、すでに約 3 か月にわたってアンダーパフォームが続いている。

クレジットカード大手のビザとマスターカードも同様だ。両社の相対株価は 2024 年後半の水準まで落ち込み、今年前半のアウトパフォーム分を帳消しにした。

U/P理由:ウォルマートとコストコについては「関税コスト」、ビザとマスターカードについては「ステーブルコイン」など、各社固有の悪材料を抱えている。しかし、これらの銘柄がそろって劣後する局面は、多くの場合、市場が「消費」全体に懸念を抱いているときだ。そしてそれは、株式市場が密かに発する警告でもある。

警告である理由:米国GDPの約7割は、個人消費によって構成されている。米国最大の成長エンジンである個人消費が減速すれば、企業業績の悪化、雇用の冷え込み、そして景気全体の減速へと連鎖しやすい。ゆえに消費関連株の軟調は無視できないシグナルである。

消費の現状:米国の実質個人消費支出は、4月にわずか0.09%増加した後、5月に0.28%減少となった。トランプ関税による消費者センチメントの悪化を背景に、米国消費者は支出を削減している。

所得の現状:消費を左右するのは所得であるが、所得の動きも激しい。可処分所得は3月4月と連続で0.6%以上増加したが、5月に0.7%減少している。4月の所得増は、教師や消防士、警察官への社会保障給付金支給の影響などが一過性要因として含まれており、持続的な強気材料ではない。

株価上昇のマクロ要因:消費も所得も不安定であるならば、なぜ株価は最高値を更新するほど堅調なのか。それは、投資家が企業の設備投資拡大や生産性向上といった供給側の動向に強い期待を寄せているからである。現実に、足元までの相場回復を牽引してきたのが、半導体関連や資本財関連などシクリカル銘柄であることからも、このことは明白である。

見解:これは不安定な株価上昇といえる。最終需要(消費者)がついてこない場合、経済は供給過多となり、在庫の累積を招き、企業収益の停滞期を生み出してしまう可能性がある。マグニフィセント7のなかで、アップルが大きく出遅れていることは、消費サイクルが弱含んでいるシグナルと捉えることもできなくない。

ゆえに今後の焦点は、雇用と所得環境が改善し、消費が再び成長軌道に乗るかどうかに尽きる。もし実質賃金のプラス転換や信用コストの低下によって家計が支出を増やすなら、市場が抱える需給ギャップ懸念は後退し、株式相場は一段高となる可能性が高い。そのシナリオに賭ける投資家にとって、現時点でアンダーパフォームしているこれらの消費関連株は、景気のソフトランディングを前提とする限りで魅力的なエントリーポイントにあると言えるであろう。

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