米国株は8月下旬まで上昇し、その後は調整局面を迎える-バンク・オブ・アメリカ

ブルームバーグによると、バンク・オブ・アメリカのストラテジストらは、米国株式市場は力強い決算シーズンに後押しされて、8月下旬のジャクソンホール会合に向けて一段と上昇し、その後は下げと戻しを繰り返す「健全な」調整局面に入る可能性が高いと主張している。

今回は、このバンク・オブ・アメリカの主張を深掘りして分析していく。

力強い決算シーズンに後押し:先週から2025年第2四半期の決算シーズンが開始した。ヤルデニリサーチによれば、S&P500の第2四半期EPSコンセンサスは、前年比3.5%の増益予想となっている。

今年の3月末時点では9%近い増益予想となっていたが、トランプ関税の影響を加味して下方修正されている。

バンク・オブ・アメリカは、「下方修正された低い利益期待を実績値が上回ることで、株価は堅調に推移する」とみているのだろう。ゴールドマンサックスも同様の見解を示している。

今のところ、低いハードルはうまく飛び越えているようだ。先週末時点で500社中21社が業績発表を済ませているが、71.4%が市場予想を上回る利益を出しており堅調なスタートを切っている。

ジャクソンホールまで上昇しその後調整:「ジャクソンホール会合」は、毎年カンザスシティ連銀が主催し、世界各国の中央銀行総裁や財務大臣、学者、金融市場関係者が参加して、経済政策や金融政策について議論する重要なイベントである。とりわけ、パウエルFRB議長による講演は、FRBの金融政策の方向性に関する重要な手がかりとなるため、金融市場から非常に注目されている。

バンク・オブ・アメリカは、ジャクソンホール会合後は(健全な)調整局面に入ると想定していることから、おそらく利下げ期待を冷やすような材料が出てくると考えているのだろう。

足元のコンセンサスは9月から利下げ再開となっている。8月下旬のジャクソンホール会合で、パウエルFRB議長が利下げに慎重な姿勢を見せれば、利下げ期待は冷やされることになる。

”健全な”調整局面:バンク・オブ・アメリカはベア相場入りを想定していない。利下げ期待が後ずれしても、株高のタイミングが引き延ばされるだけ――要するに“下がれば買い”というスタンスだ。なんともつまらない株価見通しである。

以上が、バンク・オブ・アメリカの短期株価見通しの深掘りだが、これは米国株の季節性に沿って、それっぽい材料を押し付けているだけのようにも思える。

CARSONのまとめたチャートによれば、S&P500は7月に堅調に上昇し、8~9月にレンジ相場を迎える季節性がある。

性格の悪い私は、バンク・オブ・アメリカはこの季節パターンに“それっぽい材料”を当てはめただけではないか、と疑っている。

タイトルとURLをコピーしました