税制法案の上院通過を受け、米国小型株1%上昇 ― ナスダックは下落

7月2日、米国1日の株式相場ではローテーションが発生した。これまで最高値更新までの相場回復を牽引してきたAI関連銘柄が下落、ファクターでもこれまで出遅れてきた配当株、バリュー株、小型株が上昇し、モメンタム株、グロース株、個人が好きな高リスク株は軟調となった。

ローテーションを誘発する要因はいくつかあった。イーロン・マスク氏が再び税制法案とトランプ政権に噛みついたことはテスラの急落にしか寄与していないが、四半期の第一営業日であること税制法案が上院を通過したことはローテーションを見事に誘発した。

税制法案:共和党は1日、トランプ大統領の3兆3000億ドル規模の税制法案を、上院で51対50の僅差でかろうじて通過させた。メーン州のコリンズ議員とノースカロライナ州のティリス議員、ケンタッキー州のポール議員の3人が民主党に加わり、反対票を投じた。

今後は下院の審議に注目が集まる。これまで解説してきたように、メディケイド削減とSALT控除に加えて、上院が減税と歳出削減の差額を2.5兆ドル以下に抑えるという下院の枠組みに違反したことに、下院がどのような反応を示すかが鍵となる。

7月4日の期限に間に合わせるには、下院議員は上院が可決した法案をそのまま受け入れるしか選択肢がない。

ベッセント財務長官は、債務上限が引き上げられなければ米国は8月にデフォルトに陥るリスクがあると述べており、法案成立の真の期限は7月後半となる。成立が遅れれば債券市場からの圧力が強まる。

企業収益の観点から見れば、下記のゴールドマンサックスのチャートが示すように、減税政策は規模の小さい企業への恩恵が大きい。一方でテック系への恩恵は相対的に小さい。ローテーションを引き起こすには十分な材料である。

より規模が大きくなった税制法案の前進を受けて、小型株はアウトパフォーム。だが、依然最高値を下回っており、出遅れ感は目立っている。

貿易協議:トランプ大統領の7月9日の追加関税発動期限を前に、日本やEUをはじめとした貿易相手国は合意に向けた交渉を進めている。ホワイトハウスは月曜日、カナダとの協議を再開し、米国で容易に栽培できない作物への関税を緩和する可能性があると発表した。トランプ大統領は、日本について、「極めて大きな貿易赤字を抱えているため、30%や35%、あるいはわれわれが決める数字」の関税を課すことになるだろうと言明。「合意に至るかどうか分からない。日本と合意できると思えない。彼らは非常に手ごわい」と述べた。

FRB:パウエルFRB議長は中央銀行フォーラムで利下げに対して様子見の姿勢を改めて示した。インフレのデータには向こう数カ月で関税の影響が顕在化し始めるだろうと依然考えているようだ。

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