ウォラーFRB理事「早ければ7月に利下げ」

6月21日、米国20日の株式相場は続落、S&P500は▲0.22%の下落となった。米国参戦までに2週間程度の猶予があるとの安心感から寄りから上昇したものの、イランが対抗姿勢を崩さないことや、週末のニュースフローに対する警戒感から株価は下落に転じた。

中東情勢:トランプ大統領は木曜日に「2週間以内にイラン攻撃を行うかどうか決定する」と声明を出したが、中東情勢が良い方向に転じる雰囲気は今のところない。

イスラエルの最高司令官は、イランとの戦争は長期化する可能性があると警告し、「困難な日々はまだ続く」と主張した。

多方からの圧力が高まっているにもかかわらず、イランは依然として抵抗的な姿勢を崩していない。イラン政府は、「イスラエルが攻撃を停止しない限り、ウラン濃縮は停止せず、米国との交渉にも応じない」と表明した。(欧州各国との会談は効果なしだったようだ)

それに対しトランプ大統領は、イランとの交渉を継続するためにイスラエルに空爆を中止するよう圧力をかけるつもりはないと主張している。

中東情勢が相場を動かす中で、米中関係にも亀裂が走った。中国で米国製の半導体製造装置にアクセスするために大手半導体メーカーが利用してきた特例措置を、米国当局が取り消したいと考えていると、WSJが報じた。

この報道を受けて半導体関連株は下落。ナスダックは▲0.51%の下落となった。米中は先日、関税戦争の休戦で一時合意したが、半導体に関する交渉はニュースとしてはブラックボックスであり、合意に至らなかった可能性がある。米国サイドの半導体対中規制の姿勢は頑固のようだ。

かし、下記のチャートが示すように、情報技術セクターはアウトパフォームを継続しており、相場の上昇をけん引している。違和感がないとは言い切れない。

さらに、FRBによる金融政策にもひとつの材料が提示された。FRBのウォラー理事は、7月にも利下げを実施することは可能だとの見解を示した。関税によるインフレへの影響は短期的なものにとどまる公算が大きいのが根拠となっている。

先日のFOMCで公表されたドットプロットによれば、よりハト派なメンバーは2人いる。主流派は今年2回の利下げになっているが、2人のメンバーは今年3回の利下げを予想している。

各メンバーの予想は開示されていないが、ウォラー理事の連日のハト派発言を見る限り、このハト派2人のうちのひとりだと推測される。

タカ派メンバーが増えている中では、7月利下げは現実味を帯びないだろうが、ウォラー理事の言うように、関税によるインフレがごく短期的なものであり、それほど数字に影響しないのであれば、早期利下げは適切となる。

インフレ率が2%に落ち着くと見通すことができれば、FRBは中立金利に向けて利下げをすることになる。

いずれにせよ、短期的な相場の行方は、中東情勢に委ねられている。

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