memo リスクオフ 2026.06.112026.06.12 米国株式市場は、雇用統計とCPIを乗り越えられず、SpaceXのIPOを前にリスクオフとなっている。S&P500は最高値から5%下落し、少し前の高値から見ると、4%の上昇にとどまっている。 ナスダック100は、S&P500にレバレッジをかけているだけだ。 半導体に目をやると、均等加重半導体セクターと均等加重S&P500の相対指数は、今月頭にピークアウトしている。もしAI相場が続くのであれば、どれかの上昇トレンドは死守されることになる。注目すべきチャートである。 巨人たちを見てみると、マグニフィセント・セブンとS&P500の相対指数は、サポートラインを割り込み、魔のバミューダ海域に迷い込んでいる。かれこれ2年近く、S&P500と横並びの状況にある。 個別銘柄を挙げると、AI時代の時の銘柄であるGEベルノバは、長期サポートラインを遂に割り込んだ。 金に至っては、短期サポートラインを割った後急落し、長期サポートラインまで一気に下げている。前にも言ったように、金は強気相場の中で50%下落する。今回は半分で済むのだろうか。 これらのチャートに表れている足元のリスクオフの始まりは雇用統計だった。想定以上に雇用者数が伸びたことで、FRBの利下げ理由を完全に潰し、打倒インフレのための利上げ期待を浮上させた。 しかし、よく見ると、労働市場は改善していない。27週以上失業している失業者の割合は上昇している。 先月の雇用者数の増加をもたらしたのは、ワールドカップ絡みのレジャーと地方政府、そしていつものごとくヘルスケアだ。肝心の景気循環雇用は、依然として燻ぶったままである。 回答率の悪い政府統計の求人件数は増加していたが、インディードの生のデータを見てみると、求人件数は回復していない。 CPIも同様に、市場の見方には違和感を感じる。市場はコアCPIが大して上昇しなかったことを喜んでいた。 しかし、もっと重要なCPI指標は別のことを示している。コアサービスCPIから住居費を除いた「スーパーコアCPI」は3.7%の上昇と加速している。 スーパーコアCPIの構成要素を見ると、いずれの要素も落ち着いている様子はない。 CPI全体の中身もあまり良くない状況が続いている。CPIの構成要素のうち、全体の4割が前年比4%を超え、全体の7割が2%を超えている。 オックスフォードエコノミクスのレポートによれば、関税とAIインフレ、そしてエネルギー高の影響は、今年の後半まで激しく影響する。市場は労働市場もインフレも改善したと考えているかもしれないが、実際は何も変わっていない。労働市場もインフレも改善の兆しはまだ見えていないということだ。 このように、経済指標に目が眩んだ数日だが、他にも懸念すべきデータが浮上している。例えば、AI絡みだ。トークン支出は、足元減少している。新しいモデルが再びトークン消費を加速させるかもしれないが、最終需要はAI予算のコントロールを模索している。 AIコーディングツールによって、アプリのリリース数は急増したが、ダウンロード数の増加は伴っていない。最も動きが早くチープな領域では、消費者という最終需要には届いていないということだ。 本当かどうかは分からないが、OpenAIは顧客を奪い返すために、大幅な値下げを検討しているようだ。ウォールストリートジャーナルが報じた。アンソロピックが価格が2倍するモデルを投入してきた矢先に、OpenAIは価格競争を仕掛けている。これがIPOを控えた企業のすることなのか。消費者にとっては、AIのスイッチングコストは限りなくゼロに近い。お試し期間中の企業にとっても同様だ。これは、AI市場のバリュエーションを吹き飛ばす可能性だってある決断だ。IPOを控えた巨大産業の健全な姿ではない。 他にも、金融市場ではよくない動きが散見される。原油市場では、ショートポジションがかなり溜まっている。スクイーズの可能性に注意すべきだ。 株式市場では、レバレッジETFの取引量が急増している。株式市場はいまや、投機家に支配されている。 投機家だけでなく、一般投資家も投機家になりつつある。銀行は株式レバレッジを求める顧客に、記録的な額を提供している。このチャートはバランスシートに対する比率なので株高は影響しない。純粋なレバレッジへの貪欲さを示している。 配当利回りにも異常事態が生じている。S&P500ETFの配当利回りは、2000年のITバブルピークに記録した最低値に近づいている。 プライベートクレジットも依然として大きなリスク要因である。生命保険のプライベートクレジットに対するエクスポージャーは、ポートフォリオに対して25%を超えており、危険な香りしかしない状況にある。 しかし悲観的なことばかりではない。ディフェンシブは機能している。コカ・コーラは最高値を更新している。 ディフェンシブのディスカウント消費銘柄は、最高値を更新している。 シクリカル銘柄の中でも、ディフェンシブ性の高い銘柄には資金が集まっている。 半導体関連でも、SOXに組み込まれているKLAのようなディフェンシブ性のある銘柄は崩れていない。マクロとミクロを上手く組み合わせて投資判断をすれば問題ない相場だ。異常性はあるが、機能が壊れているわけではない。これらのチャートはすべて、yutakabu.comに掲載してきたチャートだ。毎日のように、こういったチャートを掲載している。ぜひ毎日チェックしていただきたい。マメな投資家であれば、その価値を分かっていただけるはずだ。